マタニティドレスデザイナー花谷珠里のコラム 2019.08.19

「マタニティだけが置いてきぼりにされている」と感じた日~私は命がけで仕事をしているのか?


甲信越にお住いで「自宅deレンタル」ご希望のお客様とラインビデオ通話でカウンセリングをしていたら、

1本の電話がありました。

 

「マタニティ用のブライダルインナーをレンタルしたいのですが・・・」とお客様。

サロンの近くにいらっしゃるとのことでしたので、おいで頂くことに。

 

「急に結婚式が決まって、今ドレスを試着に行ってきました。」とお客様。

「インナーのレンタルをしていますが、サイズを決めるには、結婚式時の体型予測が必要です。詳しい話を伺います。」と私はご説明しました。

 

妊娠7ヵ月で結婚式とのこと。

決まったドレスを、妊娠7ヵ月で美しく着こなすには、どんなインナーにするかが大切です。

ジェイディでは、マタニティ用のブライダルインナーを4種類。ワコールさんなどのインナーを3種類準備してお客様のご希望に合わせてご案内しています。

 

「さて、ドレスのお写真はありますか?」と伺うと・・・

「サイズが合わなくて・・・ファスナーのところを編み上げに加工するそうです。」「・・・ん?」

 

お写真を拝見すると・・・サイズが小さいために、ファスナーがウエストまでしか上がっておらず、ビスチェの後ろ側には「くちゃくちゃ」のあて布が。

ファスナーところは最大で20㎝くらい開いていました。

 

「・・・それは、大変難しいお直しになりますね。弊社なら10万円は頂きたいところです。つまり・・・無理。最初からドレスを作った方がずっと簡単です。」「お直し料はいくらか聞いていますか?」

 

「それより、このドレスは妊娠7ヵ月の時に着るのですよ。今日、こんなに小さくて、どうやってお直しするというのですか?」

 

そのお客様は、ぽか~んとされています。

 

事の重大さが分かっていらっしゃらない様でした。

 

「提携店は他になかったのですか?」と伺うと・・・「1店舗だけです。持込はできないとのことでした。」と。

 

ありえない!!絶対にありえない!!写真を眺めながら、私はまた悲しい気持ちになりました。

 

その結婚式場が、提携店は1店舗だけ、それはその結婚式場と同じ会社がドレスも提供しているという事のようですが、

マタニティのお客様に、適切なドレスをご用意できないのに、「持込はNG!」っておかしくないですか???

 

『またマタニティが置いてきぼりにされている』と思いました。

 

その会場と契約を済まされているお客様・・・どうしても、救うことはできません。

高額なキャンセル料を請求される恐れがあります。そもそも「持込NG」なのですから、何を言ってもダメだと思います。

 

マタニティ花嫁様!どうか、どうか、会場を決める前に、「ドレス持込の権利を獲得してください!」「持込料はもちろん無料です!」「提携店にマタニティ専用ドレスがあることを確認するまでは、ドレスプランを契約しないで下さい!」

 

何ともやるせない気持ちで、明日大阪のお客様に出荷予定のドレスをお直ししていました。

 

そのお客様は、神戸の試着会においで頂いた方で、最後にお目に掛かったのは6月です。

8月の末に、お友達とのパーティがあり、ドレスをお送りすることになっています。

 

妊娠8ヵ月になられました。

 

ドレスをご自宅にお送りして、最終フィッティングです。

6月の時点で、8ヵ月の体型予測を行いました。多分、誤差は3㎝以内だと予想しています。

 

しかし、これはあくまでも私の予測でしかありません。

 

もし不具合があっては一大事!と準備段階でできる限りの加工を施します。

 

まず、一番難しいのは、ドレス丈です。

短すぎればカッコ悪いですし、長すぎれば歩けません。

 

そこで、丈の違うドレス2着準備しました。

同じデザイン。同じ11号ですが、右側のドレスがビスチェが1.5㎝くらい、スカート丈が4㎝くらい長いです。

今、ドレス丈は同じになっていますね。右側のドレスにはパニエが入っているからです。

 

左側のドレスが、私の体型予測の結果ピッタリだと判断したドレスです。

 

もし妊娠8ヵ月のお腹が、体型予測に反してあまり大きくなっていなかったら、2つの方法でドレス丈を短くします。

 

1)ドレスの裾についている、延長パーツを外します。(約4㎝短くなります。)

2)それでも長い時は、右のドレスに入っている細めのパニエを入れます。(もう4㎝短くなります。)

 

もし妊娠8ヵ月のお腹が、体型予測に反してもっと大きくなっていたら、2つの方法でドレス丈を長くします。

 

1)右側の丈の長いドレスに変更する。(2着送っているので、その場で差し替えます。)

2)右側のドレスのパニエを外してドレス丈を長くする。(約4㎝長くなります。)

 

それでも、微妙に長さが調整できない時は、一度東京に送り返して頂き再度加工、その後大阪に送ります。

そのため結婚式の10日前にお客様のご自宅にドレスをお送りします。

 

もう一つ懸念事項がありました。

ビスチェのサイズです。6月にご試着頂いた時の写真を眺めていました。

 

後ろの編上げが7㎝程開いていました。これは、もし上半身が体型予測に反して大きくなっていた場合、もっと編み上げが開く可能性があります。

 

すると、もしかしたら、後ろ身ごろの編上げリボンの間から、本来見えてはいけないシャーリング部分が、見えてしまうかもしれません。

 

 

こんな状態です。

結婚式の招待客は後ろからも花嫁様をご覧になります。

 

「あれあれ?変なのが見えている・・・仕方ないね。妊婦さんだもの。サイズが小さいんだな・・・」と思われちゃったら大変!

 

そこで、レースを付けて、もし大きく開いてもしまっても、わからないようにしました。

 

 

編上げを締めるとこんな感じです。

 

 

大阪の「自宅deレンタル」のお客様は、ジェイディを信じてドレスを決めてくださいました。

私はどうしても、そのお気持ちに応えたいと思うんです。

 

「置いてきぼりにされているマタニティ花嫁様」を私は本気で救えるのか・・・

「私は命がけで仕事しているか?」と自分に問いかけながら。

 

NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』の見過ぎかもです・・・(汗)

ライター紹介

花谷 珠里

花谷 珠里

日本で唯一のマタニティ専門ウェディングドレスショップ「JADEE(ジェイディ)」の創業者。 10年以上、マタニティ花嫁さんと真摯に向き合ってきた体験からマタニティウェディングに役立つ情報をお伝えしていきます!

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