マタニティドレスデザイナー花谷珠里のコラム 2015.10.23

レンジでチン♪すればドレスが出来上がるわけではないんです!


世の中どんどん便利になって、電子レンジで1分美味しい夕食が出来上がったり、3Dプリンターで複雑な形のものでもすぐにコピーができたり・・・

ドレスもオーダーすれば、「チン♪ はい出来上がり~」・・・って訳にはいきません!

 

今日はフルオーダーのドレスって何なのか?

どんな工程を経てできあがるのか?

サイズオーダーと何が違うのかお話します。

 

まず、ウェディングドレスは、普通のワンピースとは決定的に違うところがあります。

特に上身頃、胸のあたりですが、肌との隙間があってはいけません。

私は第二の肌!とお客様に説明していますが、ドレスと肌の間はぴったり合わさっていなければなりません。また、ウエストに切り替えにかけても、「ゆるみ」があると、ドレスが下がってしまいます。

 

肩まで生地があるワンピース。袖付のものなどは適度な「ゆるみ」があって、ワンピースの中で体が動くくらいがエレガントです。

 

フルオーダーのドレスは、体とドレスをぴったり、まるで肌の延長上にドレスがあるようにするために、シーチングという仮縫い専用の生地でまずドレスを組み上げます。

 

お客様にシーチングのドレスを実際にお召しいただいて、体のラインに合わせて細かく針を打ち直し、調整していきます。

襟ぐりの大きさ、デコルテのデザインなどお好みを伺いながら、「もっと深く」とか「もっと丸いラインで」とか鋏を入れながら修正します。

ドレスのボリュームや、ラインもシーチング生地を切ったり、足したりしながら理想のスカートにしていきます。

 

ウェディングドレスの場合はトレーンも大切。

長さや、形、レースのレイアウトなど、お好みを詳しく伺います。

1時間以上はかかるでしょうか。

 

特にマタニティ花嫁さんの場合、妊娠しても大きくならないところ、背丈、スカート丈、肩幅、チェスト(胸元)はそのままに、これから大きくなるであろう場所、バスト、お腹まわりなどは、大きくなっても、ならなくても大丈夫なように工夫します。

 

ここが専門店の得意とするところです。

 

シーチングで仮縫いが出来上がったら、今度は材料のサテンやレース、ビーズなどを選び、パターンの作成(100パーツくらいになることも)、生地の裁断、大まかな組み上げをして、本仮縫いを実施します。

 

また花嫁さんにドレスをお召いただき、微調整をしていきます。

 

シーチング用の生地と、本番の生地とでは全く違うので、ここでイメージ通りなのか確認します。

そして、レースなどをレイアウト。ビーズの量(あまりたくさんつけると・・・舞台衣裳みたいになってしまって・・・お好き好きですが・・・)バックコサージュのリボンなど大きさなど決定します。

 

そしていよいよ、結婚式が迫った1週間前くらいまでに、仕上げにかかります。

 

1週間では、お腹はさほど大きくなりません。ただ、8ヵ月近くになると、油断はできないので、お召いただく際に多少のサイズ調整ができるように作っておきます。

 

1着のドレスが出来上がるまでに、デザイナーさん、パタンナーさん、縫製さん、刺繍屋さんなど多くの方の手で仕上げられています。それは、昔も今も変わらない、気の遠なるような手作業の連続です。

 

「レンジでチン♪ はい、出来上がり!」ではないんです。

 

マタ二ティ花嫁さんの場合、どんどん変化する体型を睨みながら、結婚式の時最高の仕上がりにしなければなりません。大変緊張を要する作業になります。

 

せっかくフルオーダーで作ったのだから、どこもかしこもピッタリで、着心地のいいドレスにしたい!職人さんの熱い想いが詰まった作品なんです。

 

「私ドレスオーダーしました♪」と仰る方によくよくお話を聞いてみると、パターンがすでに出来上がっているイージーオーダーのことを、オーダーと仰っている場合がほとんどです。

微調整はしても、パターンの修正まではしていないでしょう。

値段を伺えばわかります。

 

先程書きましたが、多くのプロフェッショナルの手を経て来たドレスが15万円とか20万円でできる訳はありません。職人さんもお仕事で、生活がありますからね。

 

よくあるサイズオーダーとフルオーダーでは、同じオーダーと言う名前でも、まったくの別物です。

 

何でも便利になった世の中ですが、たくさんのプロが渾身の想いで作りあげたウェディングドレスは、神々しく輝き、気持ちをきりりと引き締めてくれます。

どうか、お幸せに!!

お顔は見えませんが、花嫁さんに静かにエールを送っているんです。